地元の高校3年生から学ぶこれからの地域医療・在宅医療~第19回合同情報交換会報告~
山口県厚生連 周東総合病院
令和6年8月2日(金)周東総合病院東館7階講堂において、第19回合同情報交換会を開催しました。2003年から地域関係機関との合同の情報交換会を開催しており、その年ごとにテーマを決め、シンポジストの発表をもとにグループディスカッションを行っています。今年度は地元の柳井高等学校3年生の発表をもとにグループディスカッションが行われました。柳井高等学校では「湧源」という授業で探求活動を行っており、今回発表してくれた学生は将来医療従事者になるための夢を追いかけている若者たちです。「医療とともに生きる私たちの未来」という題で①柳井医療圏の医療従事者の減少②ICTによる医療の今後について発表が行われました。
発表では、全国的に医療従事者が減少している現状をもとに地元の医療の現状について、高齢者の数が増えている一方で若者の減少が著しいため、医療従事者のなり手が減少していると導き出されました。医療従事者を志しても、医療機関で働くためのハードルが高いことや就職先として医療関係の優先順位が低いために医療従事者が減少しているのではないかと考察されました。それに対し、看護師から聞いた医療職の魅力の発信や医療の現状を若者に伝えることが今後の展望として示されました。また、医療従事者の減少や勤務環境・設備の不十分さを挙げ、医療のICTが必要な理由について解決策を考え、電子カルテの活用、画像診断AI、遠隔診療、ネットワークの広がりについて述べました。そして、業務の効率化・各部署での連携の取りやすさ・医療格差の解消にも触れ、人手不足をICTの力で補い、これからの将来も安心安全な医療を常に身近で受けられるようにすることの提案がありました。
グループディスカッションでは、「以前からマイナスイメージがついて回る仕事ではあるが、それ以上にやりがいも楽しさも使命感も伝えることができるよう、キラキラと働いている姿を見せられるよう、発信する必要があると感じた」「職場環境や制度、いろんなものを見直していかないといけない状況だが、なぜ私たちは今の職業を選んだのか、その時の気持ちを思い出してみて欲しい。誰かの役に立ちたい、患者さんの気持ちに寄り添いたい、そんな思いから選んだ人も少なくはないと思う。きれいごとばかり言ってはいられない現状を理解しつつも、自分だったら…自分の家族だったら…という気持ちに置き換えて、初心に戻ることの大切さも気づかせてもらった気がする」「行政も、介護人材支援金の助成、顔の見える関係を築くこと、情報交換をしながら働きやすい職場を増やすように奨学金制度の充実を視野に入れてもらえたら」といった意見が出ました。
また、いったん県外で就職したとしても、再び地元に帰ってきた子育て世代の人が働きやすい環境を整えていくことも大切ではないかという意見もありました。
2040年問題が取り沙汰されている現在、さまざまな課題の中、患者さんが点在している柳井地域では効率的にICTを取り入れていく必要があると感じ、少しでも医療に興味を持ってくれるように私たちも魅力を発信していく必要があると考えます。今回、157名の参加をいただき、無事盛会のうちに終了することができました。当日ご参加いただきました柳井市長 井原健太郎様、大島町長 藤本淨孝様、上関町長 西哲夫様、田布施町長 東浩二様、平生町長 浅本邦裕様、祝文をいただきました山口県議会議長 柳居俊学様をはじめとするすべての方々に感謝申し上げます。
(周東総合病院 地域医療福祉連携室主任 藤本智子)