第75回保健文化賞を受賞して
広島県厚生連 尾道総合病院
このたびJA尾道総合病院副院長の花田敬士医師が第75回保健文化賞を受賞いたしました。保健文化賞は保健衛生の向上などに貢献した団体、個人を表彰する賞(第一生命保険主催、厚労省、朝日新聞厚生文化事業団、NHK厚生文化事業団が後援)です。
当地区では、当院および尾道市医師会を中心に2007年に開始した『膵癌早期診断プロジェクト(尾道方式)』の取り組みを精力的に展開しており、現在までに尾道地域医療圏における早期診断例の増加、5年生存率の改善などの成果を生んでいます。これまで、同様の取り組みは他地区でもされていませんでしたが、今では全国に展開されています。
現在、膵癌の5年生存率は全国では8.5%とされていますが、早期診断例が増加した当地区では20%前後に改善してきています。膵癌の危険因子(糖尿病、喫煙、大量飲酒、家族歴、膵嚢胞、膵管拡張など)を有する症状のない患者様に介して、地域の開業医の先生方に腹部超音波や血液検査を介入いただき、軽微な異常があった場合でも積極的に当院を含む中核施設にご紹介いただくアルゴリズムを展開しております(図1)。
尾道地区の取り組みは広島県でも高い評価をいただき、現在、広島県、広島県医師会、広島大学が3年間の準備期間を経て、県内の2次医療圏ごとに尾道方式と同様の展開を行うHi-PEACEプロジェクト(図2)を2022年10月から開始しており、広島県下全域での予後改善へ期待が高まっています。
2023年12月には東京にて保健文化賞の授与式、および皇居での天皇陛下の拝謁が予定されており、この賞の重みを感じております。 最後になりましたが、膵癌早期診断の取り組みに対して全面的にご協力いただいている皆様に心から感謝申し上げます。
(広島県厚生連 尾道総合病院 総務課 中村明彦)