幸せがひろがる地域づくり・地域包括ケアを目指して
第25回厚生連病院と単協をつなぐ医療・福祉研究会を開催
11月26日、第25回厚生連病院と単協をつなぐ医療・福祉研究会(福祉研)を「コロナ禍における地域包括ケアの実践」をテーマにオンライン開催し、18県47施設より109名にご参加いただきました。
記念講演では、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長の西村秀一氏より「正しく恐れる新型コロナ~くらしと交流、店舗、施設運営の安心のために」と題しご講演をいただきました。不織布マスクの装着や換気(空気の流れ)の工夫、普段からの健康づくりなど感染症予防のポイントをお話しいただきました。また現在の社会が新型コロナウイルスに対してゼロリスクを追求するあまり、過剰な対策で不必要な不自由が生じ、コロナ以外での健康への悪影響や社会の分断などの弊害を生んでいる事実を指摘し、情報を受け取る側の私たち自身が冷静に考え「正しく恐れる」感染症対策を行ない、安心を取り戻していくことを強調されました。
特別講演「コロナ禍における地域包括ケアとポストコロナの展望」 では、社会福祉法人協同福祉会理事長の村城正氏より、ならコープ(生協)を母体として設立した同法人の取り組みを紹介いただきました。これからの医療・介護は、病院や施設だけではなく、在宅や地域で支えていく時代になることを指摘し、誰一人として高齢者を孤立させないために、地域に住むすべての人達(行政、事業者、住民)が互いに協力し合う地域包括ケアシステムを構築していく必要があると述べました。
厚生連実践報告では、JA愛知厚生連足助病院地域医療福祉連携室課長の名取彩実氏より「面会制限の中、共に寄り添う医療を目指して」と題して、コロナ禍で面会制限を余儀なくされた病院の取り組みを紹介いただきました。自宅での看取りを希望されたケースでは、患者や家族に寄り添う医療を実践し、短期退院・在宅療養を支援して喜ばれたと報告されました。
単協実践報告では、JAかみましき福祉部係長の杉本栄治氏より、25年前にホームヘルパー養成講座から始まった同福祉部が、居宅介護、訪問看護、通所介護などに事業を拡げて13施設に成長してきたことや、組合員の声を聴き行政とも連携して丁寧に地域包括ケアを実践してきた事例を報告いただきました。
金城学院大学教授の朝倉美江氏は、地域包括ケアに自治(地域や自治体の包括的な支援体制)やつながり(住民参加のネットワークづくり)が不可欠であるとして、地域間格差の拡大や住民のつながりの希薄化への対応を問題提起。幸せとは競争するものではなく共創=協同でつくるものとして、幸せひろがる地域づくりが地域包括ケアの鍵になると発言しました。パネルディスカッションでは元日本福祉大学教授の石川満氏が、コロナ禍での様々な課題や困難さを踏まえて、地域包括ケアを進める以外に道はないとして、村城、名取、杉本各氏の報告者と共に議論を深めました。